★ ★ (3) ★ ★

ポットに電気を入れてから、ミクはキッチンに戻ってきた。
「えっと...何かあったかなぁ?」
茶箪笥を探るミクの傍らに、いつの間に来たのか、リンが立っていた。
「ココア飲みたい。」
「ココア?...って、そんなのあったかなぁ?...あ、あった。」
カップはどこに?...と、巡らした視線の先には、すでに二つのカップを手にしたリンがいた。
「なんでわたしのだって?...メイコ姉ぇが教えてくれたの?」
「うん。」
答えつつ、リンはカップの絵が描いてある方をミクに向けて手渡した。
「あ、あぁ...はちゅねさんね。」
納得するミクだったが、その表情は複雑だ。
売り出しの当初、はちゅねの着ぐるみ着用でイベントに参加させられたりしたが、秋に入ってからのこととは言え、苦行以外の何ものでもなかったから。
そう言えば、あの時一緒にいた、モグラの中に入っていた人はどこに行っちゃったんだろう?
たしか、ハクとかいう名前だったような...